2008年9月7日日曜日

 国立循環器病センターの倫理委員会は31日、手術で余った人間の頭皮に高い圧力をかけて、細胞を取り除いた真皮を作製する研究を承認した。申請した山岡哲二生体工学部長らのグループは、将来的に脱毛・薄毛で悩む人にこの真皮を移植し、毛乳頭細胞を注射して毛をはやす再生医療に発展させる計画で、世界でも初の試みという。

 研究は、神戸大学付属病院と協力、頭の手術の際に余った、人の頭皮を利用する。この頭皮に水中で約1万気圧をかけて細胞を破壊し、コラーゲンやエラスチンなどタンパク質だけのスポンジ状にする。大きさは1センチ四方。

 将来的には、この真皮に表皮となる毛包細胞を移植して皮膚状にした上で移植、毛髪の形成を促す毛乳頭細胞を注射する。毛包、毛乳頭細胞は本人のものを培養するため、この細胞が機能する限り、毛が生え続けると予想される。

 脱毛症の人の多くは頭皮が薄くなり、毛穴が変形するなど毛髪が生えにくくなっていることが多く、毛乳頭細胞を直接注射しても、正常な育成は難しかった。今回のケースでは、自分の細胞を使うため拒絶反応も抑えられるという。

 神大病院の寺師浩人形成外科准教授は「できるだけ早く臨床実験し、本当に毛が生えてくるのか確認したい」と話している。

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