2008年9月2日火曜日

喫煙と脱毛

タバコの弊害

1本吸うだけで12秒命を縮めると言われるタバコ。さまざまな疾患による死亡率を高めるタバコ。病気に対する喫煙の危険性に関してはここでは置くとして、薄毛・脱毛に関連する喫煙の弊害について調べてみました。
毛髪への悪影響としては、喫煙により毛細血管への血流が悪くなり、髪の発育に必要なだけの栄養が行き渡らなくなる、とよく言われます。血行不良を実際に実感することはあまり無いことだとは思いますが、例えば胃潰瘍や十二指腸潰瘍の治療において、喫煙による血流障害が治癒を遅れさせるほど、その血管収縮作用は激しいようです。
血管の収縮以外にも、脱毛にも関係していそうなものとしては、循環器障害(手足のしびれ・肩こり・冷感)、睡眠障害、息切れなどがあります。これらは喫煙による急性の影響で、タバコに含まれるニコチンと、一酸化炭素によるものだそうです。


ニコチンの作用

ニコチンには、中枢神経系の興奮をもたらしたり、消化器系では胃の働きを低下させ吐き気や嘔吐を起こしたりする作用があります。また循環器系には急性作用があり、心拍数の増加、血圧上昇、末梢血管の収縮などの影響を与えます。また、ニコチンは悪玉コレステロールを増やし、血管を詰まりやすくします。
主に口の中の粘膜と肺で吸収されたニコチンは、血液を通り全身をめぐり、やがて尿として排泄されます。血液中に入ったニコチン量は約30分で半減するそうですが、習慣的にタバコを吸う人であれば、ほとんど常時ニコチンの害を受け、常に血液の流れが悪い状態にいることになります。


一酸化炭素の害

タバコが燃えると必ず一酸化炭素が発生します。タバコの煙に含まれる一酸化炭素は 4~6万ppmの濃度で、これは車の排気ガス中の6~8万ppmに匹敵する濃度です。呼吸によって取り入れられた酸素は、赤血球内のへモグロピンと結びついて全身に運ばれます。しかし喫煙により一酸化炭素が取りこまれると、一酸化炭素は強力にヘモグロビンと結合します。へモグロビンは身体の隅々に酸素を運ぷ役割を持っていますが一酸化炭素のヘモグロビンとの結合力は酸素に比べ240倍も強力で、そのため全身への酸素の運搬が阻害されることになり、全身的な酸素欠乏を引き起こします。一酸化炭素ヘモグロビンの半減期は約3-4時間ですから、喫煙者は常時酸欠状態にいることになります。


喫煙とDHT(ジヒドロテストステロン)

血流障害や酸素欠乏以外に、これまで知られていなかった喫煙が毛髪に与える影響に関して、アメリカに興味深い研究結果があります。
ハーバード大学公衆衛生学部の調査によると、喫煙がアンドロステンジオン、テストステロンやジヒドロテストステロン(DHT)などの主要な男性ホルモンを増大させることがわかりました。
DHTは脱毛と最も関連する男性ホルモンで、テストステロンが還元酵素(5αリダクターゼ)の作用を受けることで生成されます。脱毛量や脱毛の速度は、このDHTとテストステロンの量が大きく関与していることがわかっています。
調査は無作為抽出された1,241人の米国人中年男性を調べ、非喫煙者と喫煙者のホルモン量を比較しました。その結果、非喫煙者に比べ喫煙者の方がジヒドロエピアンドロステロン(DHEA)は18%、ジヒドロエピアンドロステロン硫化物(DHEAS)は13%、アンドロステンジオンは33%、テストステロンは9%、そしてDHTは13%高い値を示しました。
現在、薄毛は男性ホルモンの量ではなく、男性ホルモンに対する感受性の強さによって起こると考えられています。ですから禁煙すればそれで、薄毛が治るということは無いにしろ、喫煙が脱毛をより促進したり、脱毛量を増加させる危険性があること調査結果は示しています。


禁煙の効果

喫煙が薄毛・脱毛の原因の全てではなくとも、より薄毛・脱毛を促進している可能性が高いわけですが、実際に禁煙をした場合に、体はどのように変化するのでしょう。アメリカの資料によると、禁煙後わずか20分で血圧と心拍数が正常化し、8時間経過すると血中の酸素量が正常に戻るそうです。そして24時間後にはようやく一酸化炭素が体内から消え、丸2日経ってニコチンが消えます。さらにタバコを吸わなくなってやっと2週間後に血液の循環が正常に戻るそうです。

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