2008年8月28日木曜日

遺伝的要因と男性ホルモン

 脱毛の原因として、いくつかその要因は知られているが、その中でも代表的な原因として、男性ホルモンと遺伝的要因を挙げることができる。この二つは、多くの脱毛形態のうち、薄毛、つまり男性型脱毛の原因として注目されている。近年、難病の原因糾明に関する研究が、遺伝子研究に集中しているが、脱毛症の原因も親から受け継いだ遺伝子に因るものであるということが分かっている。最近では、遺伝形態が以前とは異なり、複合的な遺伝によって影響を受けると説明されている。しかし、薄毛の遺伝子を持っているといってその全ての人から薄毛症状が現れるというわけではない。むしろ重要な因子として作用するのは男性ホルモンの方である。これを証明する例が、男性ホルモンの生成を抑えると、薄毛症状は現れないということである。しかし、再び男性ホルモンを投与すると、数ヶ月でもとに戻り、薄毛になってしまう。

 男性ホルモンであるテストステロンは、私達の体に存在する還元酵素に因って、活性のより高い物質であるジヒドロテストステロン(DHT)に変化するのだが、このDHTはアンドロゲン受容体と結合し、毛嚢細胞のタンパク質の合成を遅らせ、毛嚢の成長期を短くする。そのため毛嚢が萎縮してしまい、脱毛が起きる。このような事実から、男性型脱毛症になるのは、その遺伝的要因があるかどうかであるが、実際にその症状が出るか出ないかは、男性ホルモンにかかっているということだ。これと関連して、昔、ヒポクラテスは、宦官と女性には薄毛の者がおらず、また、胸毛の生えている者もいない、と説いた。このことからも分かるように、当時、正確な書物による実体は明されなかったが、男性型脱毛症に対する充分な理解はあったようである。
頭皮の血液供給の異常

 帽子をかぶる等の行為によって、頭を強く圧迫すると、頭皮の血液循環が悪くなり、酸素循環が悪くなるため、温度が上昇して脱毛が起きる。現代人は、進化によって脳が発達すると共に頭蓋骨も大きくなり、それを覆っている頭皮は、張って血管を圧迫している。それは、結果的に血液循環に障害を及ぼすことになる。これと類似するのが、頭皮の緊張に因る脱毛説である。頭皮は緊張すると、頭蓋骨に密着するような形になり、結果的にその下にある血管やリンパ腺等を圧迫し、毛根に必要な栄養が届かなくなり、脱毛が起きるというものだ。‘よく泣く人は頭皮が度々緊張するので、薄毛になりやすい’、‘いい人には薄毛が多い’というのも頷ける。抜け毛を抑え、発毛を促進させる民間療法としてよく使われているものの一つに、豚の毛を材質としたブラシを使って頭皮を軽く叩き、マッサージするというものだが、これは、頭皮の血液供給をスムーズにする方法の一つだと言えるであろう。

ストレスと疲労

 現代人は、常に精神的・肉体的ストレスを受けている。そのストレスがたまると自律神経失調症を引き起こし、毛髪の成長を妨げるという。しかし、ストレスは、時に、円形脱毛症を誘発するというだけで、その他の脱毛症を引き起こす主な原因とはならない。しかし、ストレスや過労に因って、人体のホルモン分泌に異常が生じることもあり、このような、内分泌障害に因って脱毛が起きるという可能性は充分ある。

脂肪質中心の食習慣

 韓国の皮膚科学史を見ると、例外の場合を除いて、脱毛発生の頻度が低かった過去に比べ、現代になって脱毛症患者が急増しているのは、生活パターンが西洋化していく過程で、食習慣も野菜中心から肉(脂肪質)中心に移行していったことと関連している。これは、脂肪質中心の食生活を営んでいる西洋社会での薄毛の発生率が、野菜中心の食習慣を持つ東洋人に比べ、5倍以上も高いという事実からも証明することができる。以前は、この事実を、食習慣が肉(脂肪質)中心のため、必然的にコレステロールを多く摂取してしまい、その結果、頭皮の血液循環に障害が生じ、脱毛を引き起こすのだと言われてきた。しかし、女性の場合など、それでは説明できない場合もある。 従って、最近では、必要以上に多くの脂肪質を摂取すると、皮脂腺が大きくなり、そのため毛嚢が収縮し、毛髪の成長を妨げるので、毛髪が産毛のように細くなったり、抜けたりする、という説明がなされている。

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